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夏休みの計画倒れを防ぐ!「宿題がギリギリまで終わらない」中学生を動かす行動科学

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夏休みの計画倒れを防ぐ!「宿題がギリギリまで終わらない」中学生を動かす行動科学

夏休みもいよいよ中盤。
「最初の計画表では、今ごろ宿題が半分以上終わっているはずだったのに……」
「『後でやる』って言うから信じて見守っていたら、ワークが1ページも進んでいない!」 

そんなふうに、お子さんの「計画倒れ」と「進まない宿題」を前に、ついイライラしてしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。
「宿題やらなくていいの?」「夏休み明けのテストのとき困るよ!」と声をかけ続けるのにも疲れてしまいますよね。 

実は、「まだ間に合う」「明日やれば終わる」と考えてしまう背景には、単なるやる気の問題だけでなく、人が持つ計画の見積もり方のクセが関係していることがあります。

今回は、夏休みの宿題がギリギリまで終わらない中学生が「スケジュール通りに動きにくい理由」を、行動科学・心理学の視点から紐解きます。

「やる気」を無理に引き出そうとするのではなく、「いつ・何をするか」を具体的に決めるルール作りと、親子で納得できる約束によって、勉強を始めやすくする方法をご紹介します。

「後でやる」を信じた結果がこれ!?夏休みの計画が崩れやすい理由

はぁ……。ポココ、夏休み前の面談で『毎日2時間勉強する!』って立派な計画表を作ってたよね?もう夏休みも半分すぎたけど、進捗どうなってるの?

え? あ、うん……。大丈夫、頭の中で計画通り進んでるから! 後でまとめて一気にやるからさ!

その『後でやる』を信じて、もう何日経ったと思ってるの! ワークも自由研究も、手つかずのままじゃない。このままだと、また始業式前日に泣きながら徹夜することになるよ!

だってさ、まだ休みはたくさんあるし、明日から本気出せば絶対間に合うもん……。

おやおや、エブリもポココも夏休みの中盤らしい、おなじみのバトルを繰り広げているね。でもエブリ、ポココが『明日やれば間に合う』と本気で信じ込んで計画を先延ばしにしてしまうのには、人間の考え方のクセが関係しているかもしれないよ。

えっ、本人のやる気やだらしなさの問題じゃないの? 自分で立てた計画なんだから、少しは責任を持って進めてほしいんだけど……。

もちろん、その気持ちはよくわかるよ。でもね、人間には『計画錯誤(Planning Fallacy)』という心理的な偏り(認知バイアス)があるんだ。

ドスター博士の豆知識

『計画錯誤(Planning Fallacy)』

自分がこれから行う作業について、実際にかかる時間よりも短く見積もってしまいやすい認知バイアス。過去に似た作業が予定より長引いた経験があっても、次の計画では楽観的な予測をしてしまうことがある。

これは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらによって示された、人の予測に見られる認知バイアスの一つです。例えば過去に『ギリギリになって徹夜で苦しんだ』という失敗体験があっても、なぜか次の計画を立てる時には『今回はこれくらいでできるはず』と、実際より甘く見積もってしまうと言われています。

た、確かに……! 去年も最後ギリギリで宿題を終えたのに、今年は『3日で終わる』とか言ってたわ……

そう。ポココはエブリを騙そうとしているわけではなく、「これくらいならできる」と本人なりに考えていても、実際より楽観的に見積もってしまっている可能性があるんだ。

そのため、抽象的な計画を立てさせたり、言葉だけで『計画通りやりなさい』と責めたりしても、問題は解決しにくい場合があるのです。

「やる気」を待つのは時間の無駄!?今日からできる「時間ルール」

そうそう! 僕だってサボりたいわけじゃないんだよ。ただ、机に向かおうと思っても、どうしても『やる気』が出ないんだよね……。やる気さえ出れば、一瞬で終わらせる自信はあるんだけどな。

やる気が出るのを待ってたら、夏休みが終わっちゃうでしょ! でもドスター、やる気に頼らずに勉強をスタートさせる方法なんて本当にあるの?

大ありさ。結論から言うと、ポココに必要なのは『やる気』ではなく、1日のスケジュールの中に勉強を組み込む『時間ルール』なんだ。そもそも、中学生に『空いた時間に勉強しなさい』というのは酷な話だよ。

そうだよ! 空いた時間はスマホ見たりダラダラしたいもん!

そうだよね。だからこそ、夏休みは『午前10時になったら勉強を始めて、昼食前までに今日の分を進める』といったように、毎日の生活の流れとセットにしてしまうんだ。

「いつやろうかな」「お昼からにしようかな」と子どもが迷う余地をなくして、ルーティンにしてしまうのがおすすめです。 

部活や家庭の予定に合わせて、「朝食のあと」「10時になったら」「昼食前に」など、勉強を始めるタイミングを具体的に決めておくことが大切です。

「ガミガミ」から「約束」へ!子どもが自走する親子会議のすすめ

なるほどね。でも、親がルールを決めて『午前中にやりなさい!』って命令しても、ポココは『今やろうと思ってたのに!』って怒って部屋に閉じこもる未来しか見えないよ……。

そこが一番のポイントだね、エブリ。

ルールは親が一方的に押し付けるのではなく、親子で話し合って決めた『約束(コミットメント)』に移行することが大切です。
親から一方的に決められたルールよりも、子ども自身が参加して決めたルールの方が、『自分で決めたこと』として取り組みやすくなります。

確かに、エブリから勝手に決められたルールは守りたくないけど、自分で『やる』って言ったことなら、破るのちょっとカッコ悪いなって思うかも。

そうだよね。だから、今日から以下の3ステップで、親からの命令を親子間の『約束』に変えてみよう。

親子喧嘩を減らせる3つのステップ

① 親子の「スタートルール」を話し合って決める

『何時から始めて、何をやるか』を、お子さん自身の口から言ってもらいましょう! 
親が主導するのではなく、子ども自身に選択させることが、約束を守る責任感に繋がります。 
★具体例:「午前10時になったら数学のワークを机に出して、まず2ページ進める。終わったら一緒にお昼ご飯を食べる!」

約束を「見える化」して共有する

決めたルールは、頭の中だけで終わらせず、紙に書いてリビングの冷蔵庫など目立つ場所に貼っておきましょう。 
お互いのサインを書くのも効果的です。 
★ポイント:カレンダーや進捗表を用意して、できた日にチェックを入れたり、好きなシールを貼ったりするなど、『約束を守れている自分』を目で見て実感できるようにする

③ 親は「見張り役」ではなく「サポーター」に徹する

もし約束の時間になっても動かない時は怒るのではなく、『10時になったね。今日の約束は何だったっけ?』と、お子様自身に約束を思い出させるだけにしてみましょう! 
★ポイント:「勉強しなさい!」という命令だと反発するけれど、「約束、どうする?」という問いかけなら、お子さん自身も自分の行動に責任を感じて動きやすくなります。

たしかに!『勉強しろ』って怒られるのはイヤだけど、自分で決めた約束を『どうする?』って聞かれるなら、自分のペースを乱された感じがしなくて、素直に机に向かえそう!

親としても、ルールが固定されていると『午前中に約束した勉強が終われば、午後はスマホを見ていても何も言わなくていいんだ』って割り切れるから、精神的にすごく楽になる! ついつい『勉強したの?』って聞いてケンカになることも減りそうだね。

まとめ

これまでは『なんで計画通りにできないの!』って怒るばかりだったけど、『計画錯誤』を知って、少し気持ちが楽になったよ。まずはポココと一緒に、『時間ルールと約束』を話し合って作ってみるね。

うん。僕も一緒に約束を決めたら、守れる気がする!

素晴らしいね! 夏休みの宿題を乗り切るコツは、気合いややる気に頼ることではなく、行動を自動化する『ルール』と、お互いが納得した『約束』を親子で整えてあげること。お互いにストレスを溜め込まず、残りの夏休みを楽しく、充実した時間にしてね!

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FAQ

夏休みの宿題をいつもギリギリまでやらないのは、本人のやる気がないからですか?

必ずしも、やる気だけが原因とは限りません。人には、これから行う作業にかかる時間を実際より短く見積もってしまいやすい「計画錯誤」という認知バイアスがあります。そのため、本人は「まだ間に合う」と考えていても、実際には予定より時間がかかってしまうことがあります。

中学生が夏休みの宿題を始めやすくするには、どうすればいいですか?

「空いた時間にやる」と決めるのではなく、「午前10時になったら数学のワークを2ページ進める」など、いつ・何をするかを具体的に決めるのがおすすめです。勉強を始めるタイミングを毎日の生活の中に組み込むことで、その都度「いつやろう」と迷いにくくなります。

親が「宿題をやりなさい」と言わないと、結局やらないのでは?

一方的に指示するよりも、親子で「何時から始めるか」「何をするか」を話し合い、お子さん自身にも決めてもらう方法がおすすめです。約束の時間になっても動かない場合は、「勉強しなさい!」ではなく、「今日の約束はどうする?」と声をかけ、自分で決めたルールを思い出せるようサポートしてみましょう。

夏休みの宿題の進捗は、どのように管理すればよいですか?

カレンダーや進捗表などを使い、できた日にチェックを入れたり、好きなシールを貼ったりして、進み具合を見えるようにする方法があります。残りのページ数や終わった課題を目で確認できるようにすると、「ここまでできた」という達成感も得やすくなります。


■ 研究・調査出典

・Kahneman, D. & Tversky, A. (1979)
“Intuitive Prediction: Biases and Corrective Procedures.”
TIMS Studies in Management Science, 12, 313–327.

・Buehler, R., Griffin, D. & Ross, M. (1994)
“Exploring the ‘Planning Fallacy’: Why People Underestimate Their Task Completion Times.”
Journal of Personality and Social Psychology, 67(3), 366–381.

記事監修者

記事監修者

上沼 真也

5,000名以上の中学生を指導した経験から、デジタルとアナログを掛け合わせた「自宅学習の最適解」を提唱。

ICT教育の専門家として中学生の学習の悩みに寄り添い、最短ルートで目標達成を支援する知見を発信します。